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総トン数20トン未満の漁船の抵当権設定登記

高松海事法務事務所による総トン数20トン未満の漁船の抵当権設定登記のご案内です。はじめに・総トン数20トン未満の「漁船」についてについて掲載しています。ご依頼の際は受付状況をご確認ください。

このページの目次

本記事は2015年10月時点の法令をもとにしたコラムです。

※本記事は、平成27年10月時点での法令に基づいて書いています。
必要に応じて口語化、抜粋・抄・省略、「漁船」に話を置き換えて解説していくものとします。

※本ページはコラムのような内容になっています。

はじめに

総トン数20トン以上の船舶に関しては、船舶登記規則等の法令に基づき、「登記」ができることになるわけで、これに基づき抵当権等の担保権の設定ができることになります。

ところが、例えば総トン数が20トン未満のプレジャーモーターボートなどは、その登録が「小型船舶の登録等に関する法律」を根拠とし、これらを担保とする場合は「譲渡担保」や「所有権留保」などの民法には規定のない、非典型的な契約等によって手続きをする必要があります。

また、その船舶が例えば土砂を運搬するような作業台船のような船舶の場合、これは法律上は「船舶法」に規定する船舶とはされず、これを建設機械抵当法による抵当権の目的とする場合は、対象船種・船質・独航機能などの要件を満たすことを確認し、打刻・検認および所有権保存登記等の手続きを行います。

このように「船舶」とは言っても、関係する法令も違うし、手続きもかなり違ってきます。
諸手続きは専門家である高松海事事務所までご依頼・ご相談ください。

総トン数20トン未満の「漁船」について

これもややこしい話になりますが、例えば20トン未満の場合は国土交通省が所轄する日本小型船舶検査機構における船舶登録と農林水産省を所轄官庁とする漁船登録があります
これらは同時に登録手続きをすることはできず、片一方のみの登録となります。

つまり、漁船をやめてプレジャーとして使うのであれば、漁船登録を抹消し、小型船舶登録法に基づく船舶登録をする必要があるし、逆もまた然りなのです。

総トン数20トン未満の漁船を担保とする「抵当権」について、その関係する根拠法令について綴っていきます。

主役となる法令は「農業用動産抵当登記令」です。
順番に説明してきます。

まず、「農業動産信用法」が登場していきます。
同法第一条では、「農業とは耕作、養畜又は養蚕の業務及びこれに附随する業務を言う」とされています。

ん?農業?漁船は農業用動産なの?と、「?」がつきそうですが、同条第二項において、「水産動植物の採捕若しくは養殖又は薪炭生産の業務及びこれに附随する業務は、この法律においては『農業』とみなす」とされています。
具体的には、「農業動産信用法施行令」第一条第九号において「総トン数20トン未満の漁船。但し、総トン数5トン未満の漁船については発動機の備え付けがあるもの又は、長さ7メートル以上のもの」と規定されています。

また、同法第三条において「農業用動産の抵当権を取得できる者は農業協同組合、信用組合及び勅令で定める法人に限る」とされています。
具体的には、農業動産信用法施行令第2条第1項・第2項により、信用事業を行う一定の農業協同組合連合会・漁業協同組合・漁業協同組合連合会に加え、次の法人が対象になります。

  1. 株式会社日本政策金融公庫
  2. 沖縄振興開発金融公庫
  3. 農林中央金庫
  4. 銀行
  5. 信用金庫
  6. 信用協同組合
  7. 農業信用基金協会
  8. 漁業信用基金協会

そして、同法第十二条のおいて、対象となる漁船については、漁業を営む者や法令で定める組合等が、所属する農業協同組合・信用組合または法令で定める金融機関等に対して負担する債務を担保する場合に、抵当権を設定することができるとされています。

なので、この手続き自体は対象・当事者ともに非常に特殊・限定的と言えます。
なお、この登記は同法第十三条において抵当権の得喪や変更等は登記が善意の第三者に対する対抗要件であるとしています。

上記を踏まえた上で同条第三項において「第一項ノ登記ニ関シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」とし、登場してくる法令が「農業用動産抵当登記令」です。

まず、登記所については、農業用動産抵当登記令(以下「登記令」とする)第二条により、漁船にあっては、その主たる根拠地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所とされている。

登記簿の表題部(登記令第八条第二項)

  1. 船名
  2. 動力漁船(推進機関がある漁船をいう。)又は無動力漁船(推進機関がない漁船をいう。)の別
  3. 主たる根拠地
  4. 漁船の長さ、幅及び深さ
  5. 総トン数
  6. 推進機関があるときは、その種類
  7. 推進器があるときは、その種類及び数
  8. 帆船(主として帆をもって運航する装置を有する漁船をいう。)にあっては、帆装(帆の装着の形式をいう。)
  9. 進水の年月

なお、初めて抵当権の設定の登記をする場合には、登記官は職権で、上記並びに所有者の氏名又は名称及び住所を登記しなければならないとされています。

抵当権の設定登記に関しての申請事項・登録免許税等の関係事項は以下のとおりです。

申請事項(登記令第九条)

  1. 申請人の氏名又は名称及び住所
  2. 申請人が法人であるときは、その代表者の氏名
  3. 代理人によって登記を申請するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
  4. 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
  5. 登記の目的
  6. 登記原因及びその日付
  7. 前条第一項各号又は第二項各号に掲げる事項
  8. 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の申請情報欄に掲げる事項


添付情報(登記令第十条(抄))

  1. 申請人が法人(法務省令で定める場合を除く。)は、次に掲げる情報
    • イ.会社法人等番号(商業登記法第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)を有する法人にあっては、当該法人の会社法人等番号
    • ロ.イに規定する法人以外の法人にあっては、当該法人の代表者の資格を証する情報 
  2. 代理人によって登記を申請するときは、当該代理人の権限を証する情報
  3. 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、代位原因を証する情報
  4. 前三号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の添付情報欄に掲げる情報


登記令第十条第一項に規定する法務省令の読み方

農業用動産抵当登記規則第四十条における不動産登記規則の読み替え
読み替える規定 読み替えられる字句 読み替える字句
第三十六条第一項
(不動産登記規則)
令第七条第一項第一号
(不動産登記令)
農業用動産抵当登記令第十条第一号


不動産登記規則第三十六条第一項(抄)

令第七条第一項第一号の法務省令で定める場合は、申請人が同号イに規定する法人であって、次に掲げる登記事項証明書を提供して登記の申請をするものである場合とする。
  • 一 次号に規定する場合以外の場合にあっては、当該法人の代表者の資格を証する登記事項証明書
  • 二 支配人等(支配人その他の法令の規定により法人を代理することができる者であって、その旨の登記がされているものをいう。以下同じ。)によって登記の申請をする場合にあっては、当該支配人等の権限を証する登記事項証明書
2 前項各号の登記事項証明書は、その作成後三月以内のものでなければならない。
3 令第七条第一項第二号の法務省令で定める場合は、申請人が同項第一号イに規定する法人であって、支配人等が当該法人を代理して登記の申請をする場合とする。
4 令第九条の法務省令で定める情報は、住民票コード又は会社法人等番号とする。ただし、住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する情報を提供しなければならないものとされている場合にあっては、当該住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを確認することができることとなるものに限る。

別表(第九条、第十条関係(抄))

1.抵当権の設定の登記

・申請情報
 イ 不動産登記法第八十三条第一項各号に掲げる登記事項
 ロ 不動産登記法第八十八条第一項第一号から第四号までに掲げる登記事項

・添付情報
 イ 登記原因を証する情報
 ロ 当該農業用動産の所有者を証する情報

不動産登記法第八十三条

先取特権、質権若しくは転質又は抵当権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

  1. 債権額(一定の金額を目的としない債権については、その価額)
  2. 債務者の氏名又は名称及び住所
  3. 所有権以外の権利を目的とするときは、その目的となる権利
  4. 二以上の不動産に関する権利を目的とするときは、当該二以上の不動産及び当該権利
  5. 外国通貨で第一号の債権額を指定した債権を担保する質権若しくは転質又は抵当権の登記にあっては、本邦通貨で表示した担保限度額


不動産登記法第八十八条(抄)

抵当権の登記の登記事項は、第八十三条第一項各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

  1. 利息に関する定めがあるときは、その定め
  2. 民法第三百七十五条第二項 に規定する損害の賠償額の定めがあるときは、その定め
  3. 債権に付した条件があるときは、その条件
  4. 民法第三百七十条 ただし書の別段の定めがあるときは、その定め


登録免許税法第四条

国及び別表第二に掲げる者が自己のために受ける登記等については、登録免許税を課さない。
2 別表第三の第一欄に掲げる者が自己のために受けるそれぞれ同表の第三欄に掲げる登記等(同表の第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあつては、当該書類を添附して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。

登録免許税法別表第三(抄) 非課税の登記等の表

名称 根拠法 非課税の登記等 備考
一の三 株式会社日本政策金融公庫 会社法及び株式会社日本政策金融公庫法 別表第一第一号から第二十四号までに掲げる登記又は登録(法人税法第二条第九号(定義)に規定する普通法人のうち資本金の額又は出資金の額が政令で定める金額以上の法人並びに相互会社及び外国相互会社に係る債権を担保するために受ける先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録を除く。) 先取特権、質権又は抵当権の保存、設定又は移転の登記又は登録については、第三欄の登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。


登録免許税法別表第一第八号

動産の抵当権に関する登記又は登録
(動産の抵当権の信託の登記又は登録を含む。)
(一) 農業用動産の抵当権に関する登記
イ 抵当権の設定の登記 債権金額又は極度金額 千分の三
ト 登記の抹消  申請件数  一件につき千円


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