船舶も動産ですので、抵当権等を打てないのが原則ですが特別法により登記手続きができます。
しかし、建設機械系船舶は通常の「船舶」とは異なる手続きになります。
台船・土運船など、通常の船舶登録の対象とならない「建設機械」ですが、船舶法・船舶安全法による手続きではなく「建設機械抵当法」に基づき、所有権保存登記を申請できます。
また、抵当権などにより担保の設定をすることもできます。
ただし、打刻又は検認を受けていない建設機械については登記はできませんし、債権者によって既に質権・差押えなどがされている建設機械については、所有権保存登記をしたとしても、当該債権者に対しては効力を主張できません。
※なお、建設機械登記は基本的に、抵当権などを設定しないと閉鎖登記簿に入ってしまいます。
建設機械抵当法第八条 建設機械の所有権保存の登記後三十日以内に抵当権設定の登記がされないとき、又は抵当権の登記が全部まつ消された後三十日以内に新たな抵当権設定の登記がされないときは、登記官は、当該建設機械の登記用紙を閉鎖しなければならない。但し、所有権の登記以外の登記があるときは、この限りでない。
■ 登記の対象となる建設機械船舶
| しゅんせつ船 |
ポンプしゆんせつ船・ディッパーしゅんせつ船・グラブしゆんせつ船 → 独航機能を有しないもの |
| 砕岩船 |
独航機能を有しないもの |
| 起重機船 |
| くい打ち船 |
コンクリート ミキサー船 |
| サンドドレーン船 |
| 土運船 |
鋼製で、独航機能を有しないもの |
| 作業台船 |
登記するメリットとしては、作業船を担保に入れることによって銀行からの融資を期待できることなどが考えられます。
手続きの流れとしては、まずは打刻申請手続きをし、船舶に打刻をし、その後、所有権保存登記を申請するという形になります。
打刻とは、船体に固有の記号を打ち込む(ハンマーなどを使ってガンガンと打ち込んだりします)ことです。
打刻及び検認の実施後、証明書が発行されます。証明書は打刻・検認を行った日の翌日から起算して14日間のみ有効とされていますので、速やかに登記を行う必要があります。
打刻申請に必要な条件として、申請者が建設業法による建設業の許可を受けていることなどが挙げられます。
詳しくはお問い合わせください。
建設機械登記手続きのざっくりとした流れ
打刻(検認)の申請(建設機械所在地の都道府県宛て)
1. 申請書類の提出
2. 申請書類の受理・審査 (法定手数料36000円)
3. 打刻(検認)作業 (10〜14日後に都道府県の担当者が船まで来て打刻する)
4. 打刻証明書の発行
建設機械の所有権保存登記(所有者所在地の法務局宛て)
1. 打刻(検認)証明書の発行
2. 所有権保存登記(※要2週間以内に申請)
→2週間 以内に登記がされない場合、登記用紙が閉鎖されてしまいます。
その場合は再度、打刻申請からしなければなりません。
3. 抵当権設定(※要30日以内に申請)
→30日以内に登記がされない場合、登記用紙が閉鎖されてしまいます。
その場合は再度、打刻申請からしなければなりません。
※ 期限を過ぎると時間と費用が多分にかかってしまいます。抵当権設定はスピードを要求されますので、打刻申請の際には既に登記ができる状況にしておくよう準備する必要があります。
建設機械登記にかかる費用
|
法定手数料(納付代) |
| 打刻申請 |
36、000円 |
| 所有権保存登記 |
−−−−− |
| 抵当権設定登記 |
債権額の1000分の3 |
| 根抵当権設定登記 |
極度額の1000分の3 |
打刻された建設機械のその後の手続き
打刻された建設機械の所有者は、以下の事項に該当した場合は手続きが必要です。
変更がある場合
・所有者の氏名及び住所(法人の場合は社名や会社所在地)
・建設機械の型式及び国土交通省令で定める仕様
・建設機械が原動機(起動用原動機、エア・モーターその他国土交通省令で定めるものを除く)を有するときは、その原動機につき種類、定格出力、製造者名、製造年月及び製造番号
・当該建設機械が、道路運送車両法による自動車登録番号を有するときは、その自動車登録番号
・建設機械の所在地
・所有者の建設業法による許可年月日及び許可番号並びに主たる営業所の所在地
・当該
・打刻された建設機械を新たに取得した者
建設機械が滅失し、又は解体されたとき
打刻された建設機械を新たに取得した場合
上記の申請手続きは、ケースによって非常に多岐にわたります。
詳しくは、お問い合わせ下さい。